Reader Hub マーケティングリサーチ実務編
MARKETING RESEARCH · DAY 1

調査の前提となる「仮説」を立てよう

目的地となる問いを定め、顧客・競合・自社の機会について、検証可能な初期仮説をつくる。

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本日から「マーケティングリサーチ実践編」が始まります。
この編では、 実務のようなシチュエーションを想定しながら、具体的に手を動かしていく方法を学んでいきます

DAY1では、まず リサーチの「目的地」と「初期仮説」を設定 します。
多くの人がやってしまいがちなのが、「目的を持たずなんとなく調べる」です。
しかしこれではリサーチの速度も精度も上がりません。
プロはやみくもに情報を集めるのではなく、 「何を明らかにすべきか?」という明確な問い を立て、その問いに対する 「最初の答え(仮説)」 を構築します。
このステップを踏むことで、効率的かつ本質的なリサーチの第一歩を踏み出すことができます。

では、早速始めていきましょう!

PHASE 01

理解と題材選び

リサーチの役割を理解し、7日間で扱う商品・サービスを決める。

01
マーケティングリサーチはなぜ大事なのか?
あなたは、ビジネスの現場でこんな「失敗」を目撃したことはありませんか? - 「これ、絶対いける!」と自信満々でリリースした新商品が、驚くほど売れない…

あなたは、ビジネスの現場でこんな「失敗」を目撃したことはありませんか?

  • 「これ、絶対いける!」と自信満々でリリースした新商品が、驚くほど売れない。
  • 会議で「なんとなく」の意見が飛び交い、何も決まらない。
  • 競合の成功事例を真似してみたが、全くうまくいかない。

これらの失敗の根本原因は、ほぼ一つに集約されます。
それは、 顧客を、市場を、競合を「知っているつもり」になっていた こと。
つまり、リサーチの欠如です。

マーケティングリサーチは、単なる「調べもの」ではありません。
それは、 ビジネスにおける意思決定の質を劇的に向上させ、成功の再現性を上げてくれるもの なのです。
リサーチなしに行う決定・分析はただの勘や思い込みになってしまいます。
毎回の決断がギャンブルになってしまいますし、メンバーを説得させることもできません。
マーケティングは不確実性が高い領域だからこそ、少しでも再現性を高めるためにリサーチが最重要視されている のです。

マーケティングリサーチの技術を身につけると、こんな良いことがあります。

  • 根拠を持って発言できる
    「〇〇な気がする」ではなく、「顧客の〇〇という声(事実)に基づけば、△△という仮説が立てられます」と、客観的な根拠を持って語れるようになります。
  • 「思い込み」から抜け出し、チャンスを発見できる
    リサーチとは、自分の考えの正しさを証明する作業ではなく、むしろ自分たちが信じていた「常識」が、いかに現実とズレていたかを発見する行為です。そのズレの中に、チャンスが埋まっていることもよくあります。
  • 成功の再現性を高められる
    リサーチを通じて成功要因と失敗要因を特定・分析することで、個人の感覚に依存しない「勝ちパターン」の仮説を立てられるようになります。

このマーケティングリサーチの技術を身につけるために、次から実務的なシチュエーションでの課題に挑戦していきます!

02
リサーチの題材を選ぼう
ここからは実務シチュエーションを想定して課題に取り組んでいきます。 あなたはとある企業の担当者として、これから7日間を通して以下のミッションに取り組…

ここからは実務シチュエーションを想定して課題に取り組んでいきます。
あなたはとある企業の担当者として、これから7日間を通して以下のミッションに取り組みます。

【ミッション】

あなたは上司から以下のように命じられました。
この目的に向けて課題に取り組んでいってください。

「我が社の主力商品『〇〇』の売上が最近伸び悩んでいる。そこで、 Webサイトの全面リニューアル を考えている。単にデザインを変えるだけでなく、 顧客に“刺さる”サイトにしたい のだ。ついては、君にそのためのリサーチをお願いしたい。具体的には、

  • 顧客が抱えている『強い悩み』は何か?
  • 競合が『提供できている価値』は何か?
  • そして、『顧客が求めているが、競合が提供できておらず、自社で提供できそうな価値』は何か?

この3点を明らかにし、リニューアルの方向性を提言してほしい 。頼んだぞ!」

【課題1:プロジェクト題材を選ぼう(作業目安:10分)】

※課題事前準備
課題はすべて以下のワークシートに記入しながら進めます。
以下のスプレッドシートをコピーして使用してください。

ワーク:マーケティングリサーチ編

上記のミッションを遂行するための「プロジェクト題材」として、 あなたが今後7日間を共にする商品またはサービスを一つ選んでください
その後、「選んだ商品/サービス名」と「商品/サービスのLPまたは販売ページのURL」をワークシートに記入してください。
ここで選んだ題材を、以降のDAYでも一貫して使用します。

✓推奨する題材の条件(この中から選ぼう)

  • あなたが「愛用」しており、その良さを誰よりも熱く語れる商品・サービス
    • 理由: 顧客の「Before」の悩みや「After」の喜びを、自分自身の体験としてリアルに語れるため、思考が深まります。
      • 例: 特定のブランドのバックパック、愛用している特定の会計ソフト、あなたが通っている特定のフィットネスジム
  • あなたが「購入を迷っている」少し高価な(1万円以上が目安)商品・サービス
    • 理由: 「なぜ買うのか?」「何が不安なのか?」という購入決定プロセスの当事者になれるため、顧客心理をリアルに分析できます。
      • 例: 特定のブランドの高級ワイヤレスイヤホン、特定のオンラインプログラミングスクール、ロボット掃除機
  • 特定の趣味や悩みを持つ人向けの「ニッチな商品・サービス」
    • 理由: ターゲットが明確で熱量も高いため、ネット上に「本音」が見つかりやすく、リサーチの訓練に最適です。
      • 例: ソロキャンプ用の超軽量テント、左利き用の万年筆、特定の犬種専用のドッグフード
  • あなた”売れる”と思っている「ビジネスアイデア」
    • 理由: 新規事業の立案時と。
      • 例: ソロキャンプ用の超軽量テント、左利き用の万年筆、特定の犬種専用のドッグフード

✓避けるべき題材

  • コモディティ商品 (水、ティッシュペーパーなど): 機能的な差がほとんどなく、戦略を考える訓練になりません。
  • 巨大すぎるブランド (iPhone, TOYOTAなど): ブランド力が強すぎて、純粋なマーケティング戦略の効果を考えにくくなります。
  • 情報が極端に少ない商品 : リサーチが困難で、客観的な分析ができません。
PHASE 02

初期仮説をつくる

ターゲットと3つの問いに対する最初の答えを言語化する。

03
リサーチ前の”初期仮説””を立てよう
「問い」を立てたら、リサーチの前に「現時点での最も確からしい答え」を考えます。 これが 「仮説」です。 今回のミッションである3つの問いに対し、それ…

「問い」を立てたら、リサーチの前に「現時点での最も確からしい答え」を考えます。
これが 「仮説」です。
今回のミッションである3つの問いに対し、それぞれあなたの「最初の答え(仮説)」を立ててみましょう。
これは正解である必要はありません。
むしろ、この後のリサーチで 「覆されること」 を恐れないでください。
思い込みを破壊してこそ、本当の発見があるのです。

【課題2:リサーチ全体の「初期仮説」を構築しよう(作業目安:30分)】

Part 1: メインターゲットの仮設定

あなたが選んだプロジェクト題材について、「この商品を買っている(買ってほしい)のは、一言で言うとどんな人か?」という顧客像の初期仮説を言語化してください。
ターゲットにはさまざまなパターンが考えられますが、ここでは「一番多くを占めている顧客or中心的に狙っていきたい顧客」であるメインターゲットを一つ考えます。

(例)プロジェクト題材:「オンラインプログラミングスクール」
「今の仕事に将来性を感じず、Webエンジニアへの転職を目指す20代後半の営業職」

Part 2: ミッションの3つの問いに対する仮説を立てる

上記で設定したメインターゲットを念頭に、以下の3つの仮説を立ててください。

▼仮説①:顧客が抱えている『強い悩み』は何か?(As-Is / To-Be仮説)

ターゲット顧客が、この商品カテゴリーにおいてどのような「不満な現状(As-Is)」を抱え、どんな「理想の未来(To-Be)」を求めているのか、現時点でのあなたの仮説を記述してください。

(例)プロジェクト題材: オンラインプログラミングスクール

仮説:

  • 不満な現状(As-Is):
  • 独学でプログラミングを始めたが、エラーが解決できずに挫折してしまった。
    • スクールは数十万円と高額で、本当に元が取れるのか、転職できるのか不安。
  • 理想の未来(To-Be):
  • いつでも質問できる環境で、挫折せずに学習を継続したい。
    • 単にスキルを学ぶだけでなく、実践的なポートフォリオを制作し、自信を持って転職活動に臨みたい。

▼仮説②:競合が『提供できている価値』は何か?(競合のポジション仮説)

あなたが知っている主要な競合他社は、顧客の悩みに対し、どのような「価値」を提供して支持を得ていると考えていますか?現時点でのあなたの見立てを記述してください。
競合がまったく思いつかない場合、軽く調べてもOKです。ただし、本格的なリサーチは今後の講義で行うため、ここでは5分程度ざっと見るくらいにとどめておきましょう。

(例)プロジェクト題材: オンラインプログラミングスクール

仮説:

  • 競合A社は、 「マンツーマンの徹底サポートと転職保証」 という価値を、費用をかけてでも確実に転職したい層に提供しているはずだ。
  • 競合B社は、 「月額制で学び放題の圧倒的なコストパフォーマンス」 という価値を、独学の延長で学びたい層に提供しているが、転職成功率は低いはずだ。

▼仮説③:『顧客が求め、競合ができず、自社ができそうな価値』は何か?(自社の機会仮説)

最終的に発見したい「自社が提供すべき(強調して表現すべき)価値」のありかを、現時点で予測してみましょう。
仮説①と②を踏まえ、まだ満たされていない顧客のニーズ(機会)はどこにあると考えますか?

(例)プロジェクト題材: オンラインプログラミングスクール

仮説:

「顧客は本当は 『挫折しない手厚いサポート』と『始めやすい価格』の両方を求めているが、競合はどちらかに特化しており、その『中間にある空白地帯』を誰も満たせていない。だから、我が社は『仲間と学ぶコミュニティを核にした、続けやすい価格帯の実践的スクール』 という価値を提供すれば、勝てるのではないか?」

04
まとめ
お疲れ様でした! 本日は、 目的の確認 と 仮説の設定 を行いました。 「お客さんはこんな悩みを抱えているんじゃないか?」 「競合はこんな価値を打ち…

お疲れ様でした!

本日は、 目的の確認仮説の設定 を行いました。

「お客さんはこんな悩みを抱えているんじゃないか?」
「競合はこんな価値を打ち出しているんじゃないか?」

という仮説を考えると、それを 検証 したくてうずうずしてきませんか?
自分の仮説がどの程度正しいか、確認したいですよね。

明日からは実際にリサーチを行っていきます!
まずは顧客リサーチから行うので、次回もお楽しみに!

DAY 1 REVIEW

学びの要点

  1. リサーチは、意思決定の不確実性を下げ、成功の再現性を高めるために行う。
  2. 題材は、愛用品・購入検討中の商品・ニッチなサービスなど、顧客像を想像しやすいものを選ぶ。
  3. メインターゲットを一人に絞り、As-Is / To-Beを言語化する。
  4. 「顧客の強い悩み」「競合の提供価値」「自社の機会」の3仮説を置く。
  5. 仮説は正解ではない。後続のデータと顧客の声で覆し、更新するための出発点。
NEXT ACTION

ワークシートに結果を書き、前のDAYで立てた仮説との差分を明文化してから次のタブへ進みましょう。